妖怪の話 2
そこで、琴助太郎は、塩を一俵おろしておいて、馬をひっぱって逃げました。
しかし、馬は片方の荷物をおろしているのでうまく走れません。
気ばかりあせって一生懸命逃げておるところに、めんは塩をもうみんななめとってしまって、そしてまた、
「琴助太郎、塩をなめさせえ、塩をなめさせえ。なめさせんことには、わいも、馬とめ食うろう」
と叫んで、やってきます。
もうしかたなし、もう一俵の塩をおいて、馬をひっぱって走りました。
ところが、めんはその塩もたちまちなめてしまって、また追ってきて、今度は、
「琴助太郎、馬を食わせえ、馬を食わせえ。食わせんば、わいとめ食うろう」
と叫ぶのです。
琴助太郎はもうしかたはありません、馬をおいて自分一人、一生懸命走りました。
宮之浦の入口の釈迦堂まで来ると、そこに大きな木があったので、その木に登って見ておりました。
めんは、馬をたちまち食ってしまって、またこちらへやってきました。
そして琴助太郎の登っている木の下まで来ると、いっとき上を見あげていましたが、やがて一生懸命穴を掘りだしました。
穴を掘って木をたおすつもりです。
木がたおれたら琴助太郎のいのちはありません。
たちまちめんに食われてしまいます。
やがて根もとがすっかり掘られて今にも木がたおれようとするとき、琴助太郎がいつもかわいがっていた大きな猫がやってきて、めんが一生懸命根もとを掘っているところにうううっと飛びかかって、
ぎゃあっと、めんの目に爪を打ちこみました。
めんは目は一つでしたから、まったくのめくらになり、また傷が痛んでそのへんをころげまわってうまく間に、琴助太郎はおりてきて、猫といっしょにいそいでわが家に帰っていのち拾いをしましたそうな・・・。
屋久島ツアーの民話、「琴助太郎とめん」です。
かなり怖いタイプの妖怪ですね。